【たまねぎ工房】11AW-J02 Lapis Lazuli

【たまねぎ工房】11AW-J02 Lapis Lazuli

私の今の冬アウターは数年前に作った MPL シングルトレンチコートです。が、エクセーヌ (人工スエード) なので生地に擦れが目立ち始めました。こうなったら新たにまた作らねば! 既に冬は始まってるので、大物の割にパーツが少なく手早く出来て、且つ個性的なパターンです。

型紙・サイズ

たまねぎ工房 Lapis Lazuli のSサイズ。インバネスというか二重回しとんびコートですね (一般に袖ありをインバネス、袖なしをとんびと呼ぶらしい…本当?)。バイアス地の大きなロールカラーがポイント。

JIS7-9号がS、9-11号がMということで、9号の自分はサイズ選びに迷いました。が「迷ったら小さめが断然お勧め」ということでSサイズに。自分はやや撫で肩だし、当然ですが大きいほど重くなるので。

生地・材料

この形状のコートはやはりシャーロック・ホームズを思い出すため「ホームズ=英国」という安易な発想で MOON のウール 100% ヘリンボーンです (楽天の Fabric bird さんで 145cm巾×3m 購入)。どんなワードローブにも合わせやすそうなカーキ×ブラウンを選びました。まあ、形にインパクトがあるので色は大人しく。面積があるので重い色は避けました。

このパターンは布の量が多いので重い生地厳禁なのですが、目付が分からなかったため「買ってから後悔しよう」とあっさり注文 (←店に訊け)。裁断前に重量を測ったところ 380-390 g/m (単位面積ではなく 1m あたりの重量) でした。ほつれも殆どないしアイロンでテカるようなこともなく、非常に扱いやすい生地でした。高いけど…。

裏地はいつものキュプラではなく、オカダヤで買ったナイロンツイルです。滑りも良いしウールとの組合せで静電気が発生しにくい筈なので使ってみました…が、縫ってる間の静電気は凄かった…。表地の織りが粗いため (目はそこそこ詰まってるけどね)、風を通しにくいのも利点です。今回は表地と似た色をチョイス。意外にもアイロンの効きが悪く、ケープを表に返すのに2時間かかりました…。

芯はアピコの AM200。補強糸がヨコに入っているので、表地の地の目を接着芯のヨコに通しています。これがまた貼りつきが悪く (表地の問題?) アイロンで苦労させられました。多分まだあちこち浮いてるだろうな…。ボタンは 30mm で、ヒントで前に買ったものを使ってます… (2個しかなくて慌てて買い足した)。

アレンジ・補正

パターンの修正として、まず後身頃のタックを畳みました (軽量化の一環)。衿も修正しています。デフォルトは表と裏、右と左が同形で、そのせいで左側の衿が返りの分短くなるのです。なので左を以下のように補正しました。表衿と地衿は同形のままです。

補正:左衿の切り開き

でも、完成写真見るとまだ左側足りないですよね…。先端まで留めれば揃って見えるんですけど、そうしなかったのは失敗だったか。

ちなみに補正の参考にしたのが嶋中豊氏の「新しい部分縫い」。やったことは少し違うんですが、この本で外周を大きくする必要があると気づきました。最近の型紙屋さんの手順書は親切なのでこの本見返す機会は少ないものの、衿はちょくちょく参考にしています。

新しい部分縫い

新しい部分縫い [edit]

  • 単行本
  • 嶋中 豊
  • 文化出版局
  • ¥ 2,730 (定価)
  • 在庫切れ (Amazon価格)
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  • 在庫切れ
    (価格・在庫状況は7月8日 9:35現在)

裁断時に表地の後ろケープを「ワ」にし (生地巾ギリギリでした)、逆に、柄がおかしくならないよう表衿をCBで左右に分けてます。CBで縫い代が干渉しないよう地衿は1枚裁ちにしました。あと箱ポケットの口布は、作り易さを優先して長辺側に地の目を通すよう変更。短辺の押さえコバステッチはロの字にしています。

箱ポケット

デザイン的にはボタン開きにしてみました。デフォルトの身頃はスナップ3個しかないため「4つ目が欲しいな」と思ったのですが、ポケットと干渉するんですね…。衿はハーフバイアスでボタンホール開けると伸びそうだったのでスナップです。衿腰側のみにしたのは表側を留めて着ることはなさそうだから。衿開けてるとスナップが目立つので、ならば最初からつけずにおこうと。

MOONタグ縫い付け

アレンジでも何でもないんですが、生地購入でブランドタグを頂いたので縫い付けてみました。他に適当な場所がないためCB裏地部分にしたのですが、別に裏地は MOON じゃない訳で…どうせならその布の上に縫い付けたいと思う私は変なんだろうか。

 

作業手順の工夫・変更等

当初は玉縁ボタンホールも検討していましたが、「鳩目の方が丈夫」と聞いたので鳩目ボタンホールにしました。鳩目は家ミシンで綺麗に出来ないので外注です。お願いしたのは「大場ボタンホール」様。我が家から徒歩圏内なんですが、職場の近所ではないので持込み当日仕上げを頼むのはちょっと大変でした。2012年12月現在、営業日は月〜土 (但し土は休みの場合もあるらしい)、営業時間は9〜17時だそうです。綺麗に仕上げて頂きどうも有難うございました!

ボタンホール

…と、その前に! 今回もまた大ポカやらかしました。箱ポケットに切込み入れる際、何がどうなっていたのか前身頃の右肩までざっくり…。高い生地だし気付いたのポケット完成後だったし、ケープの根元に近い位置だし…という訳で、適当な補修で誤魔化すことにしました (←)。

裏からアイロン接着のテープ (実は只のSTテープ) を貼り、ほつれ止めピケを縫ってから切れ目に沿ってジグザグステッチを叩き (不安なので細かい縫い目で2度縫い)、表面からもう一度ほつれ止めピケを塗ってます。補修後は下のような感じ。強度的不安は残りますが、切れ目は縦なので傷が広がる方向に力がかかることはない…筈。

  • 肩の補修表側
    肩の補修表側
  • 肩の補修裏側 (左側は左身頃)
    肩の補修裏側

衿ぐり落としミシンは自分には難易度高いため手縫いにしました。いつもミシンでやる裾のまつり縫いも今回は手でやっています。

感想

とにかくパーツが大きい! 部屋の狭さ以前にカッターマットの置き方で苦労しました…まあ Rebecca よりはマシか。ミシン机も奥行きがないため、完成に近づくにつれて大変でした。

製作期間は約8日で (平日は朝1時間・夜3時間前後)、以前トレンチ作った時の半分くらいでした。思わぬ苦労を強いられたのがアイロン。ケープを表に返すのが実にしんどかったです。あと案の定、箱ポケットは難しかったです。ツイードにしては薄手でもポケット作りではやはり厚みが気になりました (そこまででもない筈なのにミシン針3本折った…)。手順書で「縫いにくい」とあった袖ぐりですが、箱ポケットよりは簡単なので御安心を! 待ち針は打ちにくかったですが。

心配していた重さは全然平気でした。もっと厚い生地でも大丈夫だったかな。サイズもSでぴったり。もう少し大きくてもよかったかも。袖がないのが防寒上心配なので、特に寒い日のためアームウォーマーの購入を検討中です。あと風の強い日やちょっと小走りする時にケープがあおられるので、カーディガンクリップ作りたいと思ってます。今回のテーマは「コスプレになりがちな二重回しをどうやって街着に落とし込むか」…というのは冗談ですが、まあコスプレにならない程度に個性的なコートが出来たかなと思います。前回は逆に「普通のトレンチをコスプレっぽく」がテーマだったので真逆ですね。

次回以降のアイディア

…作るの? 裏地に使ったナイロンツイルを表に持って来ればレインコートになるかなとも思いましたが、コートが必要な雨って横殴りですよね…この巨大ケープは間違いなく風の餌食になるだろう (>_<)。

今回ボツにしたアイディアで、ケープと身頃の裾に飾りリボンを叩くというのがありました。ケープ裾や衿にファーをつけても面白いと思います。

生地が余ったので揃いの帽子を作ろうと思ってます。鹿打ち帽にする…つもりはありませんよ。

Lapis Lazuli後ろから

あ、既にケープに皺が! アイロンかけないと…

Lapis Lazuli横から