二次創作のフィルタを通して
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先日お手紙を下さいましたとある方に「お好きな作家さんや御本がありましたら教えて下さい」と訊ねられました。真っ先に頭に浮かんだのが阿刀田高さん。短編の名手ですが私が特に好きなのはエッセイ。『ギリシア神話を知っていますか』とか『アラビアンナイトを楽しむために』とか、古典等のエッセンスを紹介する形式のエッセイが大好きです。お手紙を頂いたのをきっかけに、更に2冊買ってしまいました。そのうち1冊が、松本清張氏の作品集に寄稿した文を集めた『松本清張あらかると』です。
本のレビューは日記サイトに回すとして、今回またしても阿刀田さんの語り口にやられてしまいました。同時に買った彼の本もう1冊よりずっと面白かった (こらこら)! 松本清張さんを知らない人はいないと思いますが国民全員が実際作品を読んでいる訳でもない…と思います。実は私がその一人で、絶対読んだら面白いと思うものの何処から手を着けていいか分からなくて約30年おろそかにしている次第です。しかし、今回阿刀田さんの本を読んで「やっぱり読みたい」という思いを新たにしました。
阿刀田さんのこの手のエッセイはある作品の要所を抜き出し、御自身の人生観や創作の苦労話を織り込んで新たな作品としている点で非常に興味深いです。これもある種の「二次創作」なんじゃないかと思うんですね。良い同人誌というのはたとえ原作を知らなくてもその本を読んだ後に「原作を読んでみたい」と思わせる本のことだと、私は勝手に思っています。それでもし原作がつまらなかったとしたら同人誌の作家さんの力量が凄いわけで (笑)。自分の本はそこまではまだ到達してない。
私がサイトに自分の創作日記を書くのは多分、阿刀田さんに影響を受けているからだと思います。『松本清張あらかると』が面白かった理由の1つは多分、彼が松本氏の作品に触れつつ「自分ならこうする」とか「自分が書きたかったテーマ」とか、同じ創作者の視点で語っているからじゃないかと。実は出来上がった作品以上にその作品の創作過程の方が気になる私です (^^; )。
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