桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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逢 [3]

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黒鵺の性格が今と少し違います (兄の死を引きずっているというか)。

 黒鵺は壁に向かって両手を翳し、妖気を集中した。

「“裂破”!」

 黒鵺が叫んだ瞬間、壁は強烈な光を放ち砕け散った。彼はすぐさま中に駆け入ろうとした。……が、

 ヒュン!!

 ……突如、黒鵺の横を白い薔薇の花が掠め、足元の床に突き刺さった。

「!!」

 黒鵺の足が止まった。

「待ってたよ。この壁だけどうしても開け方が分からなくて。」

 突然背後からかけられた声に、黒鵺はギョッとして振り返った。

「こんばんは、同業者さん。」
「!」

 …背後に立っていたのは手に茨の鞭を携えた、銀の髪の妖狐の少女だった。薄暗い地下牢に似つかわしくない目映いばかりの美貌に息を飲んだ黒鵺は、次の瞬間あることに気づいて顔色を変えた。

(銀髪の妖狐!? …まさか…)
「…お前が“蔵馬”か?」

 返事こそなかったが、白薔薇によく似た少女は微笑をもってその質問に答えた。

(……オンナかよ……!!)

 黒鵺は信じられないものを見るような表情でじっと少女…蔵馬を見つめていた。と、彼女がようやく口を開いた。

「…だとしたら?」
「犯す。」
「!」

 不躾な言葉に蔵馬は一瞬たじろいだ表情を見せた。黒鵺は一歩踏み出すと彼女の腕を鷲掴みにし乱暴に引き寄せた。至近距離で蔵馬の顔を覗き込みながら彼は、ドスの利いた声で囁いた。

「何のつもりでオレの邪魔ばっかり繰り返してんのか、その発育過多の肉体 <からだ> に訊いてやる。」
「…こんな場所じゃ、歓迎できないな。」

 少し顔を赤らめつつ、蔵馬は黒鵺の手を払い肩をすくめた。

「ただの挨拶さ。オレの実力知ってもらおうと思って。」
「“挨拶”? …宣戦布告か?」
「違う、手を組みたいんだ。」
「何だって!?」

 黒鵺が叫んだ。彼は気づかなかったが蔵馬の足は緊張で少し震えていた。二年間追い掛けてやっと手に入れたこの瞬間、このチャンスだった……彼女は一つ深呼吸し、黒鵺の瞳を覗き込んで切り出した。

「…お前のこれまでの仕事、全部調べさせてもらった。」
「何だと…?」
「難しい城を次々に攻めて随分派手にやってるけど、額にしたらまだまだ大したことないよな。一人じゃ狙える獲物にも限界がある。お前だけじゃない、オレだってそうだ。だから、もっと派手にやるために組まないかと誘ってるんだ。」
「!…」

 蔵馬の金の瞳が熱を帯びて黒鵺に向けられた。が、黒鵺は急に踵を返し、彼女に背を向け宝物庫の方へ走り出した。

「!! …待てよっ!」

 蔵馬は慌てて彼を追い掛けた。黒鵺が鬱陶しそうに叫んだ。

「邪魔だ! ついてくんな!! 無傷で帰れるだけ有難いと思えっ!!」
「断る! “YES" の返事聞くまで帰らない!」
「やりたきゃ一人でやれ! 愉快犯に用はねーよ!!」

 黒鵺が一瞬沈黙した。彼は蔵馬を振り返ることもなく、声を少し落として付け加えた。

「…オレはお前と違って、この仕事に命懸けてんだよっ!」
「!」

2005-06-14 00:15

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