桜恋唄
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邂逅 [27-08]

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有瀬さんについての詳細は30章の最後まで内緒【続きます!】

「お前が蔵馬に害を為すなど事情あってのことだろう。霊界に余程の借りがあるか、それとも見返りが目的か……恐らく後者だろう。お前は平気で、受けた恩を仇で返す男だからな。」
「おや? 自分では義理に堅いつもりだが。」

 楠樹は鼻で笑った。黄泉は厳しい顔で楠樹を詰問した。

「お前は高等妖術師だ。オレ達が『運命を変える』と言っても単なる根性論に過ぎないが、お前はもしかしたら、その具体的な方策を知っているのではないか? そしてその為に有瀬を利用し、裏で何か手を回している。違うか?」
「!……」

 鴉が目を見開いた。皆の視線が楠樹へ集まった。彼は無言のまま、醒めた目で一同を見渡した。

「──有瀬、お前やっぱり霊界へ帰れ。」

 一つ息を吐き、楠樹はのそりと口を開いた。

「な、なにっ!?」
「こいつらに対して、それこそ『あることないこと』喋られてはかなわないからな。」
「〜〜〜〜!!」

 顔を真っ赤にして怒る有瀬を、他の隊員達が懸命になだめた。楠樹が冷ややかに言った。

「お前らの為に言ってるんだ。今日は運良く難を逃れたが、存在を勘づかれた以上、また蒼龍妃に襲われないとも限らない。」
「それはその通りだ。オレ達がその都度助けに入るのも本末転倒だしな。」

 黄泉が同調した。

「それに、既に事態はお前達の手を離れたところで動いている。鼠が何匹うろついたところで大勢に何の変動もないさ。」
「蒼龍妃が魔界にやって来た時点で有瀬、お前の目論見は既に崩れたんだ。私達は彼女をこの地で食い止めてみせる。お前達は早く霊界に戻り、自分の身を自分で守ることだ。」

 鴉も言い添えた。特防隊の面々は返す言葉もないまま、恨めしげに三人を睨んだ。

「──さっきの話だが、」

 不意に、楠樹が黄泉に向かって語り出した。

「お前の推測、否定はしないぜ。オレには目的がある。そして、有瀬に個人的な借りもある。」
「なに? それは一体……」
「それ以上のことは言えんな。さあ、行くぞお前ら。」
「楠樹!」

 黄泉が呼び止めた。が、楠樹は無視して歩き出した。有瀬達も慌てて後を追った。

 彼らの姿が見えなくなったところで、鴉が黄泉に訊ねた。

「お前は、運命を変える鍵を有瀬が握っていると考えているのか。」
「有瀬というより霊界がだ。立場的に楠樹には入手できず、あの男には手に入る何かが霊界にあるのではないか。もしかしたらそれは、蒼龍妃を阻止する鍵でもあるかもしれない。」

 ──その後しばらく、二人は言葉もないまま立ち尽くしていた。

「…… 先程鈴木も言っていたが、」

 鴉がようやく、重い口を開いた。黄泉が顔を上げた。

「蒼龍妃に相対してつくづく思い知った。このままでは私達も、完全に役立たずだ。」
「言うな。」

 黄泉がすかさず遮った。

「今ここで折れると、魂の因縁から蚊帳の外になるぞ。」
「…… それも悪くないな。」

 鴉の眼差しが、ふと虚ろになった。

2012-10-01 21:07

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