桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

RSS0.91 | RSS2.0 || 桜恋唄 (HOME) » 桜恋唄文芸集 » 邂逅 » 邂逅 [27-07]

邂逅 [27-07]

Contents

contents

有瀬以外の特防隊の皆さんが完全に空気…御免なさい

 彼女の顔に再び、ぞっとするような微笑が浮かんだ。特防隊の隊員達はへたり込んだまま縮み上がった。蒼龍妃はゆるりと、その奥に居並ぶ男達へ目を向けた。

「ふ、どれも懐かしい顔……。むざむざ運命を繰り返しに、同じ時代に集ったか。」
「生憎だが、そんなつもりは毛頭ない。」

 身構える鴉や黄泉と対照的に、楠樹は落ち着き払って答えた。

「運命は変えられる。変えてみせるさ。そうでなければ今ここに自分の存在する意味がない。それはお互い様だろう?」
「……」

 蒼龍妃はじっと、彼の顔を見つめた。

「だがどうやら、妾とそなたの向かう先は異なるようだ。」
「お前が何をする気かは知らんが、御頭に危害が及ぶならオレはそれを全力で阻止する。オレは黒鵺とは違う。お前と御頭は別人だ。そして、オレとオレの前世も。」
「ふ……」

 二人は無言で睨み合った。蒼龍妃がふっと笑った。

「……よかろう、ならば妾を止めるがいい。妾は隠れはするが、逃げはしない──。」

 言うや否や、彼女の体から白い光が噴き出した。次の瞬間、その姿は消え失せていた。

「待て、蒼龍妃!!」
「追う必要はない。しばらくは御頭と共に魔界に留まる筈だ。」

 楠樹が遮った。彼は続けて、未だ生きた心地のない有瀬達を振り返った。

「ったく、だから御頭に近づくなと忠告しておいたのに。でも襲われてよかったな。」
「な、何だと!? 貴様、人が殺されそうになったというのに一体……」

 有瀬が目を剝いた。楠樹は冷笑した。

「オレが魔界に来てる間、蒼龍妃が霊界に向かってたら洒落にならなかったぜ。」
「!」
「尤も、彼女が蔵馬の中に潜んでいるのは私達も既に察していたがな。」

 鴉が横から割り込み、そのまま楠樹と黄泉に向き直った。

「お前達、蒼龍妃はどうして魔界に来たのだと思う?」
「なに?」
「彼女が蔵馬の魂や肉体を修復ついでに複製しているとしたら、とっくに完成している頃だ。だとすれば彼女は今頃、蔵馬の居場所に関わらず霊界に乗り込んいてもおかしくない。」
「なるほど。それをせずトーナメントに参加する蔵馬にくっついて来たということは、何か他の目的が魔界にあるということか。」

 黄泉が頷いた。が、楠樹は醒めた顔で口を開いた。

「もう一つあるだろう。御頭そのものを乗っ取れば、複製は必要ない。」
「!」
「魂の修復はそれ一つで充分厄介な作業だ。並行して肉体や魂を複製するのは口で言うほど簡単じゃない。御頭が一週間で戻ってきた以上、複製はなされていない可能性が高い。」
「な……」

 鴉の顔が険しくなった。しかし黄泉は表情を変えず、やおら楠樹に向き直った。

「ならば、そろそろ質しておこうか。楠樹、お前こそ一体何を企んでいる?」
「なに?」
「蒼龍妃の行動はさておき、元々蔵馬の封印に罠を仕込んだのはお前の筈だ。そこの男に命じられ、蒼龍妃に複製の機会を与えるためと言ってただろう。」

 名指しされ、有瀬が慌てて楠樹を怒鳴りつけた。

「き、貴様! あることないこと喋りおって!」
「『ないこと』を喋った覚えはない。」

 楠樹はすげなく首を振った。黄泉は有瀬を無視して話を続けた。

2012-10-01 21:06

||

コメント

まだコメントはありません。

このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。

桜恋唄について | 管理人について | サークル情報 | サイトマップ