桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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邂逅 [26-14]

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一人ではツッコみ切れなかったのです多分

 その時、突如場内が騒然となった。皆一様にスクリーンへ釘付けとなっている。三人も中継映像を見上げた。

「あっ……!」

 それきり彼らは声を失った。
 客席特設スクリーンに映っているのはH闘技場、第八ブロックの予選だった。ボンデージ風の黒い革ジャケットとショートパンツ、網タイツにニーハイのエナメルブーツ、肩から漆黒のマントを翻した痩身の男が、細い鎖のついた鎌を何本も振り回し対戦相手達を蹴散らしている最中だった。その黒髪の男は大きな蝙蝠の翼を持ち、唐草のような文様の刻まれた仮面で顔を覆っていた。

《凄まじい破壊力です! しかもあのスピード! 黒い疾風がリングを駆け巡っています!! えーと、あれは……》

 絶句している三人の前で中継カメラは、リングの上を所狭しと暴れ回っているボンデージ男を追い掛けた。データをようやく探し当てた実況アナウンサーが、会場全体へ向けて声高々に彼を紹介した。

《今大会初出場、ナンバー11096番・紫鳥〈しどり〉選手です!!》
「…………」

 紫と鴉が思わず顔を見合わせた。

(おいおい、一応顔は隠してるけど、誰がどう見ても……)
(黒鵺、だよな?)

 流石の三人もスクリーン一杯に大写しになった怪しい男に硬直していた。やがて、放心状態だった鴉が、がっくり肩を落とした。

「何と言うか、その、その筋のファンがつきそうな……」
「……カッコ、いいっっっ!!」
「は!?」

 鴉と飛影が音速で振り返った。紫が固く固く拳を握り締め、腹の底から声を絞り出し、さも悔しそうに絶叫した。

「くそおぉ、ずるーいっっっ!! オレもあの衣装で大会出たかったぁ〜〜〜!!」
「ばっっ……」
「バカかお前はぁっっっ!!」

 二人がかりの渾身のツッコミと同時に、場内アナウンスが紫鳥の予選突破を宣言した。

 H闘技場の混迷を知らぬまま、A闘技場ではもう一つ注目の闘いが行われていた。試合開始早々ほとんどの選手が弾き出され、リングの上では今、只二人の選手のみが対峙していた。
 それは、大会の華ともいうべき女の闘いだった。一方は半身を機械で覆った小柄な女性、優勝候補筆頭の躯であり、もう一方は今大会の陰の主役・蔵馬だった。

「やっぱりあの二人の一騎打ちだな。」

 中央ステージで闘技場を見下ろしながら鈴木がつぶやいた。ブロック番号の大きな彼は、自分の出番は明日以降と踏んで仲間の応援に勤しんでいる最中だった。

「躯も蔵馬には一目置いているはずだ。すぐに倒してもつまらんと思っているのだろう。」

 同じく今日は試合のなさそうな凍矢が答えた。

2012-01-05 21:16

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