桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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邂逅 [26-12]

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楠樹の武器は『爆れ○ハ○ター』のティ○=ミスの紡ぎ糸がモデルです

 中央ステージで闘技場を見下ろしているのは、召集を待つ蔵馬と当分試合のない飛影だった。飛影が眉をひそめた。

「どういう風の吹き回しだ? お前としたことがヤツの肩を持つとは。」
「そんなに不思議かな。」

 蔵馬が微笑した。と、彼女は客席スクリーンに映し出された他の闘技場に目を止めた。

「それより飛影、彼を見ておいた方がいい。」
「なに?」

 混戦中のF闘技場で、鮮やかな紺青の法衣姿が目を引いた。岩の上に腰掛けた楠樹が、他の選手の闘いを他人事のように眺めている。

「見ておけと言われても、座っているだけだが?」
「機を見計らっているんだ。それが彼の戦闘スタイルだからね。」

 蔵馬の言葉が聞こえたのか、楠樹がゆっくり立ち上がった。

《何だ、まだ無傷のヤツがいたのか?》
《潰し合いを待とうったってそうは行かないぜ!》

 彼の存在に気づいた者達が一斉に飛びかかった。が、その動きが突如、空中でぴたりと静止した。

「何だ!?」

 観客がどよめいた。

《何だこれは……!?》

 よくよく目を凝らすと、楠樹の周りを霞のようなものが取り囲み、対戦相手達を絡め取っている。それは、肉眼で見えるか見えないかの細い糸を巡らせた網だった。

「掛かった!」

 蔵馬の口許が笑った。
 楠樹の両手にいつの間にか、先端が尖った柄の長い独楽〈こま〉が握られていた。柄には糸が巻き取られ、リング上縦横無尽に拡がる網へと繋がっていた。

「蜘蛛の巣!?」

 飛影が蔵馬を振り返った。

《何だぁ!? ベタベタくっついて離れねぇ!!》
《しかも、どんどん皮膚に食い込んで……!》
「あの糸自体が凶器なんだ。彼自身の妖気を紡いだもので強度は炭素繊維の百倍以上。無理にもがけば皮膚が裂けて血が噴き出す。」

 蔵馬が言った。飛影が腕組みをした。

「なるほど、高みの見物のフリをして罠を仕掛けていたというわけか。」
「楠樹は蜘蛛の怪だから。」

 蔵馬がうなずいた。
 ゆっくりと楠樹が振り返った。一人の選手が鬼の形相で立っている。手負いを覚悟で振り払ったのか、彼は全身に無数の裂傷を負っていた。

《ズタズタの体でまだやる気か?》
《動けるうちは負けは認めん! セコい手でオレを倒そうと思うなよ!》

 楠樹が再び微笑した。背筋が寒くなる笑みだ、と飛影は思った。楠樹は手の中でくるりと奇妙な独楽を持ち替え、尖端を獲物めがけて打ち込んだ。

《!》

 男は辛うじてそれを叩き落した。しかし次の瞬間、独楽はふわりと浮き上がり彼の腕に突き刺さった。

2012-01-05 21:13

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