桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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Found It - 第8章 目覚め [4]

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絶対に小龍は隙間から様子を覗っていたと思う

 私は呆然と項羽を見つめた。悪戯っぽい微笑を浮かべ、彼は徐に上体を起こした。と、こちらを見るなり顔をしかめた。

「何だぁ? お前突然不細工になったな。頭はボサボサだしその巨大な絆創膏は一体何?」
「なっ……全部お前のせいだっ!!」
「エ? じゃあまさか、あれは現実だったのかな。」
「なに?」
「お前がオレを助けてくれたこと。」
「!」

 項羽がくすりと笑った。

「ありがとな。あの時突然炎に巻かれて、狂ったみたいに泣き喚いてた。どんどん火が迫ってきてパニックになって、その先は全然覚えてない。ただ気づいた時、すぐ傍でお前の声が聞こえたんだ。」

 項羽は顔を上げ、じっと私の目を覗き込んだ。

「……恐る恐る目を開けたら、そこにお前が立ってた。『何してるんだ、早く来い』って、膝をついてオレの手を掴んでくれた。手が繋がった瞬間、全部思い出したんだ。視界がぱあっと拓けて、胸がぎゅっと切なくなって、『ああオレ、この女のこと好きだったな』って……そう悟った瞬間、目が覚めた。」
「!……」

 何か言おうとしたが、胸が一杯で声が出なかった。項羽が優しく微笑んだ。

「ただいま。……ずっと、会いたかった。」

 彼はそっと、私の頬に手を伸ばした。指の先が肌に触れた。火傷に触れぬよう気遣いながら彼は、そのまま軽く私の顔を撫でた。

 ──私も、会いたかった──

 万感の想いを込めて見つめ合う。項羽は私の頬を手の平で包み、そのまま首筋へと指を這わせた。

「あ……」
「しっ。」

 悪戯っぽく目配せし、彼は私の首を後ろから抱き寄せた。

 ──項羽──

 逆らう理由など何もなくて、私は自然と瞼を閉じ、彼へゆっくり顔を近づけた……
 その時。

 ガラッ

「項羽、まだ寝てる?」
「!!」

 私達は慌てて身を離した。引き戸の隙間から小龍が顔を覗かせていた。

「項羽!? 起きたの!? 大丈夫!?」
「……タイミング、最悪っ。」
「エ?」

 項羽が苦笑した。小龍はぽかんと私達を見つめた。火を噴いた顔を悟られぬよう、私はひたすらそっぽを向いていた。

2009-06-14 09:00

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