桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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Found It - 第7章 数が示すもの [3]

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霧風は背中大丈夫だったんだろうか…

 成す術なく立ち尽くす一同の中、突如劉鵬が大声を上げた。

「おい、誰か項羽を見なかったか!?」
「エ?」
「さっきすれ違った時アルバムを持ってて、『倉庫に返しに行く』って言ってた気が……」
「!!」

 刹那、私の体が勝手に動いた。

「霧風!?」
「馬鹿! 戻れっ!!」

 我に返った時、私は既に炎の中へ飛び込んでいた。煙が充満し視界を遮っている。体中を刺すような熱気が包んだ。一瞬体が竦んだものの、今更引き返すことも出来なかった。

「項羽! 項羽!! いるなら答えろ!!」

 叫びながら私は炎の中を潜った。しかし声は全て煙の中に吸い込まれた。その時、黒い梁が頭上に崩れ落ちてきた。

「!」

 咄嗟に飛び退いた私は次の瞬間、偶然足元にうずくまる影に気づいた。

「あっ……!」
 ──項羽!?──

 石材に遮られ炎の届かぬ場所に、項羽が倒れていた。しかし呼び掛けても返事はなかった。

(まずい!)

 脈の有無など確かめる余裕もなく、私は夢中で彼を担いだ。と、その懐にアルバムがあるのに気づいた。私はそれも拾い上げた。既に出口は煙に掻き消されている。火花の弾ける音と渦巻く気流の音に混じって兄弟達の声が聞こえてくる。それを頼りに私達は炎の中を突き進んだ。やがて視界が晴れ、立ち尽くす皆の姿が見えてきた。

「霧風!」

 バシャアッ!

 突然、誰かが私に水を浴びせた。

「何やってんのよ! そのまま火の中に飛び込むなんて!!」
「あんた今、背中が火だるまだったよ!?」

 たらいを持った凪とつららに怒鳴られ、私は思わず身を縮めた。

「項羽!」

 小龍を筆頭に皆が駆け寄ってきた。と、

「!」

 ザアァァァァ────

 重い雷雲が破れ、待ち焦がれた雨がようやくぼたぼた落ちてきた。燃え盛る炎は途端、その勢いを失い始めた。

「……生きてる。気絶しているだけだ。」

 竜魔がつぶやいた。力が抜けたのか、小龍が大きく項垂れた。私はずぶ濡れになったアルバムを、雨から守るように懐に抱き締めた。

2009-06-14 09:00

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