桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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Found It - 第6章 鉄の部屋 [2]

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項羽ならきっと風魔の里に核シェルターも作りそうな気がする

「何か見えるか?」
「いや、特には。普通すぎるというか……本当に、只の部屋だ。」

 いささか拍子抜けして、私は再びぐるりと室内を照らした。壁一面に防音材と思しきものが貼られている。あの男はこんな物を一体何処から、いつの間に調達してきたのだろうか。

「……そろそろ大丈夫かな。入れるよ。」

 総司の言葉に、私は穴から室内へ滑り込んだ。畳二畳ほどの狭い空間。何処から引き込んだのか換気設備や照明も設置されているが、電源を断たれていて全く機能しなかった。

「凄いなこれは、核シェルターか?」

 総司が笑いながら、穴の外から内部を覗き込んだ。

「しかし、年頃の坊やの秘密基地だしエッチな本でも隠してあるかと思ったけど……」
「変わったものは見当たらないな。むしろ地上の部屋よりまともかもしれない。」
「それは?」

 総司が指を差した。平積みの本の上にノートが置かれている。ページをめくると几帳面な文字で、火薬の調合法やら気候の予測法やら忍術の基礎がびっしり書き込まれていた。

「うわ、勉強家だなあの坊や!」

 総司が感嘆の声を上げた。私も複雑な気分でノートを見つめた。ずっと憎たらしいほどの天才と思っていたが、やはり白鳥は人目に隠れて懸命に水を掻いていたらしい。

「でも、手掛かりは何もなさそうだ。」
「残念。嬉し恥ずかし秘密日記でもつけててくれれば有難かったのに。」
「意味が分からんっ。……ん?」
「何だこれは?」

 私達は同時に、壁にぶら下がったある物に気づいた。

「『787』? 何の数だ?」

 日めくりカレンダーの隣、小さな黒板に白墨で殴り書きされた「787」の文字。私と総司は顔を見合わせた。

「だああぁぁっ!! 何ちゅーことをしてくれたんスか姐さんっ!!」

 翌朝。本陣にやってきて開口一番、兜丸が頭を抱えて叫んだ。

「しょうがないだろ、この部屋の中を捜索したかったんだから。」
「だからってコレはないでしょーが!!」

 すっかり弱り切っている兜丸の横で犯人・総司は開き直って澄まし顔だ。護剣の破壊力はやはり只物ではなかった。辛うじて灰にはならずに済んだものの、昨日まで真っ白だった無垢材の柱は例の隠し部屋を中心にすっかり黒く煤けていた。

「いーじゃん別に、どうせ古い材木と混ぜて使ってるんだし。むしろ芯まで乾燥してあげたんだから感謝してくれよ。」
「ったく!!」
「相変わらずだなお前は。」

 後ろで竜魔が苦笑している。その背後から麗羅が現れ、おずおずと私の前に進み出た。

「霧風さん、あの、済みませんでした!」
「なに?」
「本当は霧風さん、項羽さんのこと誰よりも真剣に心配してたんですよね。それをオレ、今まで全然分かってなくて……御免なさい!」

2009-06-14 09:00

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