桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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Found It - 第6章 鉄の部屋 [1]

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総司さんの護剣の名前が判明したので修正しておきました

「鉄板を斬ってほしいって?」
「ああ。ただその、何が出てくるか分からないんだが。」

 皆が寝静まった真夜中。私は総司を従え本陣までやって来た。あらかた骨組みは完成し、壁を塗ったり屋根を葺いたりする作業が近づいている。

「項羽が以前隠し部屋を作っていたんだ。今となっては当人含め誰も開けられなくてな。あいつの性格を考えると罠が仕掛けられている可能性もあって迂闊に手が出せない。」
「その中に、彼の記憶を取り戻す手掛かりが隠れているかもしれないと。」
「ああ。」
「それにしても何故、この捜索がお前の発案だってこと隠す必要があるんだ? どうして私が自主的に開けたことにしないといけないのかな。」
「別に。どういう心境の変化だと、いちいち訊かれるのが面倒だからだ。」
「それは私も興味があるね。昨日まで現状維持を主張していた人間が一体どういう風の吹き回しやら。」

 総司の問いを黙殺し、私は建物の中へ侵入した。総司がくすりと笑った。

「お前さんみたいな子を世間じゃ“ツンデレ”って呼ぶんだよ。」
「なに?」
「何でもない。……うわ、これは壮観だな!」

 柱を潜り抜け問題の部屋に辿り着いた途端、総司は笑い出した。ダイヤル式の鍵を懐中電灯で照らしながら、彼女は四方から様子を観察した。

「別に罠は仕込まれていないと思うが……まあ、番号を一つ一つ試すよりはこいつでバッサリやった方が早いな。」

 彼女はそう言って、背中に担いでいた物々しい剣を手に取った。

「それは?」
「護剣・緋炎剣。伊達家が代々守ってきた伝家の宝刀さ。元来こんな物ぶった切るのに使うような代物じゃないんだがね。」
「何でお前の家には聖剣だの護剣だの、お宝がごろごろ転がってるんだ?」
「野暮なこと訊きなさんな。さ、見張りが回って来ないうちに片付けるぞ。下がってろ。」

 私は骨組みの外へ下がり成り行きを見守った。総司が鞘から剣を抜いた。途端、眩い炎が闇を引き裂き燃え上がった。

「!! これが……火の護剣!?」
「そ。実は私もいまいち使いこなせてなくてさ、万一建物が灰になっても笑って許して。」
「エ!? そ、そういうことは先に言えっ!」
「静かに! 気が散る!!」

 総司が剣を振り上げた。紅の炎が一筋の光となり、刃に沿って輝いた。

「はあっ!!」

 ジュワッ……!!

 振り下ろされた刃が触れた瞬間、切断面が赤く輝いた。総司が刀を鞘に納めた時には、鉄板に一辺二尺の四角形が口を開けていた。

「な……」

 私は恐る恐る近づいた。くり抜かれた穴は鑢をかけたように滑らかな切り口をしている。確かに剣も大したものだが、流石は噂に聞く凄腕だ。

「ふぅ、何とか延焼は免れたな。……待って、冷めるまで触らない方がいい。」

 総司が額の汗を拭った。私は切り口に触れぬよう注意を払いつつ、懐中電灯の光を室内へ向けて差し込んだ。

2009-06-14 09:00

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