桜恋唄
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Found It - 第5章 会いたい [2]

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折角のオリジナルキャラなので重要な役割を。しかし十や二十で済まないって… (笑)

 私の手が止まった。小龍も一瞬目を丸くしたが、すぐさま冷静に聞き返した。

「項羽の彼女? 何で突然そんな話を?」
「昨日伊達さんが言ってたの。項羽にはまず、昔を思い出す幸せを教えてあげようって。」
「自分に可愛い彼女がいたって聞けば、何か反応するかもしれないと思ってさ。」

 凪が言い添えた。

 ──項羽に、恋仲の女が?──

 何故か動揺して、私は視線の端で小龍の反応を窺った。彼はしばらく考えて答えた。

「御免、オレは知らない。それより『彼女がいる』って、項羽が言ってたのか?」
「そうよ。ね?」
「うん……」

 凪がつららを振り返った。つららは小さく頷き、深々とうつむいた。

「あの、実は私ね……去年、項羽に告白したの。」
「なに!?」

 思わず聞き返すと、つららが慌てて付け加えた。

「あのね、結局駄目だったの。『気持ちだけ受け取っとく』って、それで……」

 呆気にとられた私を見て凪が笑った。

「項羽は競争率高かったんだよ。あんたには信じられないかもしれないけど、あいつが袖にした女の数は十や二十じゃ済まないんだから。」

 私とは対照的に、小龍は妙に落ち着いた様子で黙って話を聞いていた。つららは赤い顔でひたすら足元を見つめていた。全く言葉の出てこない彼女に代わり、凪が説明を続けた。

「それで、この子が言うにはその時あいつが『オレの将来の嫁はもう決まってる』って言ってたらしいの。結局名前までは教えてくれなかったらしいけど。」
「……」

 困惑しながら私は、再び小龍を盗み見た。彼は表情のない顔で二人を見つめていた。

「ま、小龍が知らないんじゃ誰も知らないね。こうなったら風魔のくノ一全員とっ捕まえて聞き出してみるわ。行くよつらら。」
「う、うんっ。」

 つららが慌てて顔を上げた。「じゃあ」と手を振り、二人は道場の方角へ消えていった。私は複雑な気分で再び手元の木材を削り始めた。と、

「項羽に、そんな女いる訳ないだろ。」

 小龍が、ぼそりと口を開いた。

「なに?」

 私は顔を上げた。彼は出来上がった柱木を抱え、次々と台車に積み始めた。

「だってあいつ、告白もせず妄想だけ突っ走ってるヤツだったから。『将来の嫁』なんて、あいつが勝手に決め込んでただけさ。」

 私はぽかんと彼を見つめた。探りを入れるように、低い声で尋ねた。

「……好意を抱く女はいたと?」
「向こうは、惚れられてることすら知らなかっただろうけど。」

 小龍が微笑した。心臓にちくりと、細い棘が刺さったような気がした。小龍は木材を運びながら話し続けた。

2009-06-14 09:00

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