桜恋唄
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Found It - 第4章 知らない男 [4]

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総司さんの「坊や」は『柳生暗殺帖』ネタです

「なに?」
「この女を知ってるのか!?」

 皆が一斉に振り返った。「総司」と呼ばれた女が顔を上げた。

「久しぶりだな小次郎。竜魔に聞いてないのか? この坊やを助けたのは私だって。」
「い!?」
「ちょ、ちょっとお前ら、どういう知り合いだよ!?」
「この女何者だ!?」

 皆が彼女を取り囲んだ。女は項羽を気遣いながら答えた。

「私は伊達総司。小次郎や竜魔とは聖剣戦争の時に縁があってな。」
「だ、伊達っ……!?」
「あの、傭兵の伊達総司か!?」

 思わぬ名前に場が騒然となった。あの飛鳥武蔵と並び称される、現代の日本に於ける最強の刺客の名。私も思わず竜魔を振り返った。竜魔は「だから言っただろう」と言わんばかりに肩をすくめた。

「……立てるか? ああ、何も怖がらなくていいよ。静かなところで少し休もう。」

 ようやく落ち着いた項羽を促し、総司が立ち上がった。

「あ、オレが連れてくから!」

 慌てて小龍が遮った。総司は同じ顔の少年に目を丸くしたが、すぐに「頼むよ」と微笑んだ。二人が場を離れるのを見届け、竜魔が彼女に近づいた。

「何だお前、わざわざ様子を見に来てくれたのか。」
「まあな、仕事が立て込んでて随分遅くなったけど。それにしても久々だね、ダーリン☆」
「エッ!?」

 一同が一斉に竜魔を振り返った。

「この場でそういう不謹慎な冗談は止めろっ!!」

 大慌てで竜魔が叫び、総司はにやりと笑った。何処となく以前の項羽に通じるものを感じ、私は思わず顔をしかめた。

「……さっきあんた、『霧風の言う通り』と言ったな。」

 琳彪が恐る恐る話しかけた。総司が振り返った。

「ああ。あの坊や、炎を極度に怖がるんだ。」
「なに?」
「私も最初は気づかなかったんだが入院中、病院の喫煙室の前を通りかかった途端パニックになってな。ライターの炎を目にして錯乱状態に陥ったようだ。」
「な……」
「私が彼を発見した時にも体中に火傷を負っていたから、もしかしたらその記憶が残っているのかもしれない。」
「!」
「じゃあ項羽さんはさっき、オレの朱麗焱で……!?」

 麗羅が蒼ざめた。一同がしんと静まり返った。

「……」

 気まずい沈黙に耐えかね、私は大袈裟に溜息を吐いた。

「やはり実戦復帰は無理だな。今の項羽は単なる足手まといだ。」
「!」
「霧風!!」

 一同が私を振り返った。私は無言で木刀を拾い上げ、道場の中へと早足で戻っていった。

2009-06-14 09:00

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