桜恋唄
幽遊白書・黒鵺×蔵馬中心、桜枝真央の同人的創作の館

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Lost It [3]

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狼少年な兄貴のせいで小龍たん、いい迷惑。

『もうすぐ出発するんだ。身支度で忙しいのにこれ以上タチの悪い冗談に付き合ってられるか。』
『冗談じゃない、オレは本気だ。イエスかノーか、お前も本気で答えろよ。』
『返事するまでもないと言ってるんだ。お前が私を愛してる? 有り得ないね。』
『へぇ、要するにオレの本気を疑っていると? 別にオレが嫌って訳じゃないんだな。』
『!』

 揚げ足を取られ、怒りは瞬時に沸騰した。

『そんなに答えが欲しいならくれてやる。「お断り」だっ!!』

 項羽が一瞬たじろいだ。私は怒りに任せ、絶縁状でも叩きつけるように吐き捨てた。

『分かったらこの話はもう無しだ。じゃあな。』
『おい待てよ、』
『これ以上何だっ。』
『オレと、結婚前提で付き合って。』

 思わず振り返ってしまった。

『……「もう無しだ」と言ったのが聞こえなかったのか?』
『無しになったから新しくもう一度言ったんだけど。』

 返す言葉を瞬時に見つけられず、私は睨むように項羽を見据えた。彼は相も変らぬ薄笑いだった。……が、目が全く笑っていなかった。

『!』

──本気なのか?──

 急速に、私の胸に迷いが拡がり始めた。周囲の音という音が一斉に消え去り、世界中に項羽とたった二人きり取り残されたような錯覚に囚われた。

──でも──

 揺れた心は次の瞬間、元の方へ振れて戻った。この男の悪質な嘘を真に受け、手痛い目に遭ったのは一度や二度ではない。今だって告白を装い、私から何かを探ろうとしているのかもしれない。しかし……胸に刺さるような視線を浴びて「全て嘘」とも思いたくはなかった。

『…… ならば、』

 一時の逡巡の後、私は過剰なほど用心深く切り出した。

『次会う時に再度同じ話をしてもらおうか。そうだな、証人として小龍にでも立ち会ってもらうとしよう。』
『えっ!?』

 流石に絶句した項羽を冷ややかに見遣り、私は再び背を向けた。

『そうしたらお前の本気とやらを信じてやる。話の続きはそれからだ。』
『…… 分かったよ、そこまで疑うなら。』

 項羽は渋い声で承諾した。

『でもその代わり、次はその場で即答してもらうからな。絶対忘れんなよ。』
『じゃあな、今度は雪が降る頃に。』

 大袈裟に肩をすくめ、私はその場を後にした。

2009-02-09 19:41

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